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A one designer's photo diary 
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蒼ざめた馬-ロープシン
「『・・・・・・視よ、蒼(あお)ざめた馬あり、これに乗る者の名を死といい、黄泉(よみ)これにしたがう・・・・・・』
ヨハネ黙示録、六章八節 」ー蒼ざめた馬より

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ロープシン=ボリス・ヴィクトロヴィチ・サヴィンコフ  Б.В.Савінков
1879年1月19日 - 1925年5月7日


「信念をもって、『私に殺してはならぬ。殺すな』と言える者が誰かいるだろうか?わたしに石をなげつけることのできる者がいるだろうか。境界もなければ相違もないのだ。なぜテロのための殺人がよく、祖国のための殺人が必要で、自分のための殺人は許されないのか?誰かわたしに答えてくれる者がいるだろうか?」
蒼ざめた馬より
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「わたしにはわかっている。わたしはこれ以上生きていたくないのだ。わたしは自分の言葉も、考えも、願望もたいくつなのだ。わたしは人びとも、彼らの生活もたいくつだ。彼らとわたしのあいだには障壁がある。越えがたい障壁が。わたしの障壁ーそれは血まみれの剣だ。」
ー蒼ざめた馬より
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社会革命党(エスエル) ロシア革命当時のポスター
1906年、「人民の意志」派のテロリズムの伝統を受け継ぐ社会革命党(エスエル)は、第一回党大会で組織をテロ部門とイデオロギー部門と分党することが採択された。その決議の下、サヴィンコフはエヴノ・アゼーフと共に社会革命党(エスエル)戦闘団を結成する。
アゼーフを指導者とし、サヴィンコフはテロ実行部隊の指揮官となり、プレーヴェ内相やセルゲイ大公など数々の政府要人暗殺を企て殺害。因みに、サヴィンコフの関与の有無にかわらず、社会革命党(エスエル)戦闘団により殺害された数は139人となる。
後に、この戦闘団の最高指導者であるアゼーフが秘密警察のスパイであった事を、1908年にエスエルの古参活動家ブルツェフによって暴露される。ーアゼーフ事件
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エヴノ・フィリポヴィチ・アゼーフ(Evno Fishelevich Azef、1869年~1918年4月24日)

レーニンと共にロシア十月革命を指導したトロツキーは、このアゼーフ事件起きた翌年に1909年に「テロとその党の破産(アゼーフ事件によせて)」と題する評論を発表している。

「政治革命の方法としての個人的テロは、わがロシアの「民族的」財産である。もちろん、「暴君」の暗殺は、「暴君」の制度そのものと同じく古くからあるし、昔から詩人たちは、剣による解放者に敬意を表して少なからぬ讃歌をつくってきた。しかし、次から次へと暴吏や大臣や君主を暗殺することを自己の課題とするような計画的なテロ、すなわち、1880年代の「人民の意志」派が露骨にテロの綱領として定式化したような、こうしたテロは、ロシア・インテリゲンツィア独特の創造的産物であり、それは、絶対主義の官僚主義的ヒエラルキーに適応して、自分自身の革命的官僚制をつくりだす。もちろん、そこには深い原因がなければならないし、それは、第1にロシアの専制の本質のうちに、第2にロシア・インテリゲンツィアの本質のうちに、探さなければならない。」

「テロリズム戦術も議会主義的日和見主義も、重心を大衆から代行者集団に移し、その抜け目なさやヒロイズム、エネルギー、如才のなさにすべての成否をかけてしまう。前者も後者も、指導者を大衆から隔てる大きな舞台裏を必要とする。一方の極においては、神秘主義に包まれた『戦闘団』、他方の極においては、無知な党員大衆に——彼らの意志に反して——恩恵をもたらすための国会議員の秘密の陰謀。」

トロツキーはこの評論で、アゼーフ事件を単なる社会革命党(エスエル)内の問題として捉えるのではなく、もっと根深い政治的テロリズムと日和見主義が共通して抱える問題として捉えなければならないと訴えている。

(川崎 浹 訳 ロープシン「蒼ざめた馬」-岩波現代文庫より )
(西島栄 訳 トロツキー「テロとその党の破産(アゼーフ事件によせて)」)
by transtyle | 2007-05-06 18:09 | Book
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